石綿工場で働いていた方・ご遺族の方

アスベスト(石綿)工場内で石綿の粉じんにさらされて作業したことが原因で、肺がんや中皮腫等を発症した方、またはこれらの病気で亡くなった方のご遺族の方は、国に対して訴訟を提起し、以下の要件をいずれも満たすことが確認された場合には、賠償金の支払いを受けることができます。

国から支払われる賠償金の受給対象となる要件

従事期間

昭和33年5月26日~昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべきアスベスト(石綿)製品の製造・加工工場や作業場で、石綿の粉じんにさらされて作業していた方。

※「石綿工場」とは、石綿紡績工場、石綿含有建材・製品の製造工場などです。

※「アスベスト(石綿)を製造する工場」ではない方も受給対象となる可能性があります。
 例えば、スレートや煙突等の製造工場、セメント・コンクリートブロック等の製造工場、化学繊維 の製造工場、電気機械の製造工場、自動車整備会社などです。

対象となる疾患

上記の結果、アスベスト(石綿)に起因する以下のいずれかの疾患に罹患した方。

  • 石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)
  • 肺がん
  • 中皮腫
  • びまん性胸膜肥厚

請求期限

提訴の時期が、損害賠償請求権の期間内であること。
※期間については当事務所にて確認いたします。

疾患別の賠償金額

病状に応じて、下記の賠償金を受け取ることができます。

病態 慰謝料基準額
石綿肺
じん肺管理区分の管理2
550万円(合併症がない場合)
700万円(合併症がある場合)
石綿肺
じん肺管理区分の管理3
800万円(合併症がない場合)
950万円(合併症がある場合)
石綿肺(じん肺管理区分の管理4)、肺がん、
中皮腫、びまん性胸膜肥厚
1,150万円
上記疾患による死亡 1,200万円~1,300万円

※別途、遅延損害金が支払われる場合があります。

大阪泉南アスベスト訴訟とは

大阪泉南アスベスト訴訟とは、大阪府・泉南地域のアスベスト(石綿)工場の元労働者やその遺族の方々、そして近隣住民が、国に対してアスベストによる健康被害に関する損害賠償を求めた裁判のことです。

アスベスト(石綿)は繊維が極めて細く丈夫で、熱や摩擦にも変化しにくいため、長年にわたって保温材や断熱材などの建材や防音材などに使われてきました。
しかし、飛散したアスベスト(石綿)を吸い込むことで、石綿肺、肺がん、中皮腫を発病することが大きな問題となり、現在では、新たなアスベスト(石綿)製品の製造・使用などは禁止されています。
アスベスト(石綿)を吸い込んでから、健康被害がわかるまでの潜伏期間は長く、肺がんの場合は15~40年、中皮腫は20~50年も経ってから発症します。
そのため、アスベスト(石綿)を生産・使用していた当時には健康被害が出ていませんでしたが、時間が経つにつれて、アスベスト(石綿)が原因で肺がんや中皮腫を発症する方が増加しました。

とくに、大阪府南部の泉南地域には、アスベスト(石綿)産業が集中していて、工場が数多くあり、最盛期にはアスベスト(石綿)紡織品の国内シェア80%を占める生産額を誇っていました。
そこで、泉南地域の被害者が、「国が早期に適切な規制や対策を行っていれば、深刻な被害を防ぐことができたはずだ」と、全国に先駆けて、アスベスト(石綿)の健康被害における国の責任を追及する訴訟を起こし、損害賠償を求めました。

平成26年10月9日の最高裁判決において、「昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、国が規制権限を行使して、アスベスト(石綿)工場に局所排気装置の設置を義務づけなかったことが、国家賠償法の適用上違法である」との判断が下されました。
この判断を受けて、国はアスベスト(石綿)工場の元労働者やその遺族の方々が、国に対して訴訟を提起し、一定の要件を満たすことが確認された場合には、訴訟の中で和解手続きを進めて、賠償金を支払うことを表明しました。

厚生労働省「石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々との和解手続について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075130.html

アスベスト(石綿)工場で働いていた方、そのご遺族に対して、弁護士が賠償請求等をサポートいたします。

詳しくはこちら

ご相談から書類の収集、裁判手続き、賠償金の受け取りまでの流れについてご説明いたします。

詳しくはこちら

© 弁護士法人長瀬総合法律事務所 アスベスト被害専門サイト