アスベスト(石綿)による健康被害に対する救済制度は、被害の状況や職歴によって利用できる制度が異なり、それに伴い「申請窓口」もバラバラに分かれています。
「労災はどこに行けばいいの?」
「市役所で手続きできると思っていたけれど、違うと言われた」
「いくつもの役所を回らなければならないの?」
このように、入り口の段階で混乱してしまう方は少なくありません。体調が優れない中で、たらい回しにされてしまうことは避けたいものです。
この記事では、主要な4つの救済制度の「正しい申請窓口」を一覧で整理し、ご相談から給付金受け取りまでの具体的な流れを解説します。どこへ何を提出すればよいのか、全体像を把握するためにご活用ください。
はじめに
アスベスト被害の救済制度を利用しようとしたとき、最初の壁となるのが「窓口の複雑さ」です。
例えば、同じアスベスト被害であっても、現役世代の方は「労働基準監督署」、退職後の建設業の方は「労働者健康安全機構」、工場の近隣住民の方は「環境再生保全機構」といったように、申請先が異なります。
間違った窓口に書類を出しても受け付けてもらえず、時間のロスになってしまいます。
本記事では、ご自身の状況に合わせて正しい窓口を選べるよう情報を整理し、申請から解決までのロードマップを示します。
申請窓口と手続きに関するQ&A
まずは、申請先に関してよくいただく質問にお答えします。
Q1. 近くの市役所や年金事務所で手続きできますか?
原則として、市役所や年金事務所では手続きできません。
アスベスト関連の主な給付金(労災、建設アスベスト給付金など)は、厚生労働省やその関連機関が管轄しており、自治体(市町村)の窓口とは異なります。
ただし、「石綿健康被害救済法」の一部手続きについては、お住まいの地域の保健所が窓口となっている場合があります。二度手間を防ぐため、事前に確認するか、郵送での手続きをお勧めします。
Q2. 複数の制度を利用する場合、それぞれの窓口に申請が必要ですか?
はい、それぞれの窓口へ個別に申請が必要です。
例えば、「労災保険」と「建設アスベスト給付金」の両方を請求する場合、まず労働基準監督署へ労災申請を行い、その後に労働者健康安全機構へ給付金申請を行う必要があります。窓口同士で書類が回送されることはないため、ご自身(または代理人弁護士)がそれぞれの機関とやり取りをする必要があります。
Q3. 窓口に行かなくても、郵送で申請できますか?
ほとんどの手続きは郵送で可能です。
体調が悪い中、遠方の役所まで出向く必要はありません。特に「建設アスベスト給付金」や「石綿健康被害救済法」は郵送での申請が一般的です。ただし、労災保険については、調査のために労働基準監督署への出頭や面談を求められることがあります。
解説:【一覧表】あなたの申請窓口はここです
アスベスト被害の救済制度は主に4つあります。それぞれの申請窓口は以下の通りです。
1. 労災保険(労働者災害補償保険)
業務としてアスベストを扱っていた労働者(会社員など)が対象です。
- 申請窓口: 労働基準監督署
- どこの?: 原則として、「最後にアスベストばく露作業に従事した事業場」を管轄する労働基準監督署です。
- 注意点: お住まいの地域の監督署ではありません。例えば、住居が千葉県でも、最後に勤めた会社(工場や建設現場)が東京都港区にあった場合は、三田労働基準監督署などが管轄になります。
2. 建設アスベスト給付金
建設現場で働き、アスベスト被害に遭った労働者・一人親方などが対象です。
- 申請窓口(提出先): 厚生労働省 労働基準局 労災管理課(建設アスベスト給付金担当)
- 郵送先: 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
- 方法: 専用の請求書と証拠書類(労災認定の決定通知書など)を揃え、簡易書留やレターパックなど配達状況が確認できる方法で郵送します。
3. 石綿健康被害救済法(救済給付)
労災の対象にならない方(近隣住民、家族など)や、時効で労災が使えない方が対象です。
- 申請窓口: 独立行政法人 環境再生保全機構
- 方法: 機構(神奈川県川崎市)へ郵送するのが確実です。
- 補足: 全国の保健所や、環境省の地方環境事務所でも受付を行っている場合があります。
4. 国家賠償請求訴訟(工場型など)
工場型アスベスト被害や、建設型で個別に企業を訴える場合などです。
- 申請窓口: 地方裁判所
- どこの?: 被告(国や企業)の所在地、または被害者(原告)の住所地を管轄する地方裁判所です。弁護士に依頼して提訴するのが一般的です。
解説:相談から解決までの「4つのステップ」
弁護士に依頼した場合、どのような流れで手続きが進み、解決(入金)に至るのか。標準的なフローを4つのステップで解説します。
【STEP 1】 相談・ヒアリング(無料相談)
まずは法律事務所の無料相談を利用し、現状を整理します。
- 行うこと:
- 職歴(どんな仕事を、いつ頃していたか)の確認。
- 病状(病名、診断時期)の確認。
- 手元にある資料(健康診断結果、年金手帳など)の確認。
- 分かること:
- 「どの制度が使えるか」
- 「いくらくらい給付金がもらえる見込みか」
- 「時効は大丈夫か」
- 今後の見通しと、弁護士費用の説明を受けます。
【STEP 2】 調査・資料収集・申請書の作成
正式に依頼した後、弁護士が代理人として活動を開始します。ここが最も重要な準備期間です。
- 弁護士が行うこと:
- 職歴調査: 年金事務所への照会や、閉鎖登記簿の取得などで、過去の勤務実態を裏付けます。
- 医学的調査: 主治医に「認定に有利な診断書」の作成を依頼したり、医療照会を行ったりします。
- 書類作成: 複雑な申請書や、当時の作業状況を説明する申立書を作成します。
- お客様にお願いすること:
- 昔のアルバムから作業着姿の写真を探すなど、身の回りの証拠探しにご協力いただく場合があります。
【STEP 3】 申請・審査(または提訴)
準備が整ったら、適切な窓口へ提出します。
- 行政手続き(労災・給付金など)の場合:
- 各窓口へ書類を提出します。
- 審査機関からの追加質問や資料提出要請には、弁護士が対応します。
- 裁判手続き(国賠訴訟)の場合:
- 裁判所に訴状を提出します。
- 期日(裁判が開かれる日)には弁護士が出廷するため、ご本人が裁判所に行く必要は原則ありません。
【STEP 4】 認定・給付金の受け取り
審査や裁判が終了し、結果が出ます。
- 認定通知:国から「支給決定通知書」や「認定通知書」が届きます。裁判の場合は「和解調書」が作成されます。
- 入金:指定したご本人の銀行口座に、国や企業から直接、給付金・賠償金が振り込まれます。
- 完了:入金を確認後、弁護士費用を精算し、手続きはすべて完了となります。
弁護士に相談するメリット
申請窓口が多岐にわたり、それぞれ手続きのルールが異なるアスベスト問題において、弁護士は「水先案内人」の役割を果たします。
1. 「たらい回し」を防ぐワンストップサポート
ご自身で手続きする場合、労基署へ行き、次に機構へ郵送し…と、各所と個別にやり取りをしなければなりません。書類の不備があれば、それぞれの窓口から修正を求められます。
弁護士に依頼すれば、窓口は「法律事務所」の一つだけになります。複雑な行政機関とのやり取りはすべて弁護士が代行するため、ストレスなく手続きを進められます。
2. 管轄や手続きミスによる遅延を回避
特に労災保険の場合、「管轄の労働基準監督署」を間違えて提出してしまうと、書類が返送されたり転送されたりして、審査開始が大幅に遅れる原因になります。
弁護士は管轄を正確に調査し、適切なルートで申請を行います。
3. 解決までの「ロードマップ」が見える安心感
「次はどうなるのか」「いつ終わるのか」が見えない不安は大きいものです。
弁護士は、申請から受給までの全体像を把握しており、「今は審査のこの段階です」「あと〇ヶ月ほどで結果が出ます」といった進捗を随時報告します。ゴールが見えていることで、安心して治療や生活に専念いただけます。
まとめ
アスベスト被害の救済制度は、被害者の方々を救うために作られたものですが、その入り口(窓口)が複雑であることが、利用のハードルとなっている側面があります。
- 労災保険 → 最後の事業場を管轄する労働基準監督署
- 建設アスベスト給付金 → 労働者健康安全機構(郵送)
- 石綿救済法 → 環境再生保全機構(郵送)
- 国賠訴訟 → 裁判所
このように、制度ごとに「行くべき場所」は異なります。
また、これらの制度は「どれか一つを選ぶ」のではなく、「組み合わせて使う」ことが多いため、個人で全ての窓口を管理するのは大変な労力を要します。
「書類の書き方がわからない」
「自分はどこの窓口に行けばいいの?」
そのようにお悩みの方は、迷わず弁護士にご相談ください。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、あなたの状況に合わせて、どの窓口に、どのような順番で申請すればよいかを整理し、各手続きを代行いたします。複雑な手続きは専門家に任せ、正当な補償を受け取るという「結果」を手にしてください。
【次のステップ】
「自分の管轄の労基署がどこかわからない」
「複数の制度を使える気がする」
そう思われた方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
お電話一本で、あなたが利用すべき制度と、申請の進め方を弁護士が分かりやすくアドバイスいたします。面倒な手続きの第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。
ご案内
当事務所では、各法律問題に関する動画解説を配信中です。ぜひご視聴ください!
長瀬総合のYouTubeチャンネル
当事務所では事務所からのお知らせやセミナーのご案内等を配信するメールマガジンを運営しています。
ご興味がある方は、こちらのご登録もご検討ください!
長瀬総合のメールマガジン