本稿は、アスベスト(石綿)に関する基本的な知識として、「アスベストとは何か?」という定義や種類を中心にご説明します。
アスベストは、かつて建材や製品に広く使われていた一方で、重大な健康被害をもたらすリスクがある物質です。
この記事では、専門用語をなるべく噛み砕き、一般の方にもわかりやすい表現を心がけています。ぜひ最後までお読みいただき、もしお困りの場合は早めに弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。
はじめに
アスベスト(石綿)という言葉を聞いても、実際にどのようなものなのかイメージしづらい方も多いかもしれません。一方で、「アスベスト」という言葉から「健康被害」「禁止や規制が進んでいる危険な物質」というイメージを抱く方もいらっしゃるでしょう。アスベストが一体どのような性質を持ち、なぜ深刻な被害を引き起こすのか、理解を深めることはとても大切です。
日本でも、かつてアスベストは建設資材や工業製品をはじめ、実に幅広い分野で使用されてきました。しかし、その後、アスベストがもたらす危険性が明らかになり、多くの健康被害が報告されるようになりました。その結果、アスベストに関する規制は段階的に強化され、現在では原則的に使用が禁止されています。
本稿では、アスベストの定義や種類、その特徴について解説しながら、アスベストに関する知識をご紹介いたします。さらに、アスベスト問題でお困りの場合に弁護士に相談するメリットや、当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)に依頼する意義についても触れていきます。
Q&A
Q1:アスベストとはどのような物質ですか?
アスベストは天然に産出する鉱物繊維の総称です。非常に細い繊維状で、耐熱性や耐久性、そして断熱性が高いため、かつては建材や保温材など幅広い製品に利用されてきました。しかし、吸い込むことで肺に深刻なダメージを与えることがわかり、現在ではアスベストの使用は原則として禁止されています。
Q2:アスベストはどこに使われていたのですか?
建物の屋根材、壁材、配管の保温材、防火設備の耐火材など、主に建設業界や製造業を中心に広く使用されてきました。また、家庭向けのストーブや暖房器具などの断熱材として利用されていた例もあります。
Q3:アスベストはなぜ健康に悪いのですか?
アスベスト繊維は極めて細いため、空気中を漂いやすく、吸い込むことで肺へ入り込むリスクがあります。これが原因となって肺がんや中皮腫(胸膜や腹膜などに生じるがん)などの重篤な呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。さらに、発症までに数十年の潜伏期間を要する場合が多く、被害が後になってから明らかになるケースも少なくありません。
Q4:アスベストには種類があるのですか?
アスベストには大きく分けて6種類が指定されています。中でも代表的なものとして、「クリソタイル(白石綿)」「アモサイト(茶石綿)」「クロシドライト(青石綿)」の3つがよく知られています。これらの繊維はすべて健康に大きなリスクをもたらすため、取り扱いに厳重な注意が必要です。
Q5:アスベスト関連の被害にあったかもしれない場合、どうすればよいですか?
まずは医療機関で検査を受け、アスベスト暴露の可能性を医師に相談することが重要です。その後、必要に応じて労災保険の申請やアスベスト健康被害救済制度への手続きを検討します。手続きや法的対応で不安があれば、アスベストに詳しい弁護士へ早めにご相談ください。
解説
ここからは、アスベストの定義や種類をより詳しく解説していきます。
アスベストの定義
アスベスト(石綿)は、天然の鉱物から産出される繊維状の結晶を指す総称です。化学組成や結晶構造の違いによっていくつかの種類に分かれますが、共通している特徴は「細く長い繊維状で、耐熱性や耐久性に優れている」という点です。
従来は、熱に強く、摩耗しにくい素材として非常に重宝され、産業革命以降、世界中で大量に利用されました。日本でも1950年代から1980年代にかけては、建材や車両部品の摩擦材(ブレーキなど)、保温材、断熱材などに広く使われていました。しかし後に、アスベスト繊維を吸い込むことで健康被害を引き起こすことが判明し、段階的に規制が進められた経緯があります。
アスベストの主要な種類
アスベストとして規制の対象となっているのは、国際機関や日本の法令などで定義された6種類ですが、その中でも主に以下の3種類がよく知られています。
- クリソタイル(白石綿)
アスベストの中で最も多く流通していた種類といわれています。白い見た目をしており、加熱しても融けにくく、非常に強度が高いことから、建材・断熱材・摩擦材など、多岐にわたって利用されました。 - アモサイト(茶石綿)
茶色っぽい色をしていることからこの名前がついています。耐熱性・耐酸性に優れている一方、健康被害のリスクも大きいとされています。建物の保温材や断熱材に使用されたケースが多くみられます。 - クロシドライト(青石綿)
青みがかった石綿で、アスベストの中でもとりわけ毒性が高いと考えられています。極めて細かい繊維で肺に入りやすく、重篤な疾患を引き起こすリスクが高いといわれています。パイプの保温材やスレート(屋根材)などに使われた例があります。
これ以外にも、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトという3種類がありますが、それらは国内の産業利用としては比較的流通量が少なく、上記の3種ほど多用されたわけではありません。しかし、いずれの種類も健康に悪影響を与える点では違いがないため、取り扱いには最大限の注意が必要です。
アスベスト規制の背景
日本政府は、アスベストによる健康被害が顕在化するとともに、世界各国の規制動向も踏まえ、2000年代に入ってから全面的なアスベスト使用禁止へと舵を切りました。具体的には、2006年に「労働安全衛生法施行令」を改正し、アスベスト含有量が0.1%以上の製品は原則製造・使用が禁止されるようになりました。さらに、大気汚染防止法などの改正もあり、建築物の解体や撤去の際にアスベストが飛散しないよう厳格な手続きが求められるようになりました。
アスベストに関する誤解と注意点
アスベストには発がん性があるため、「アスベストが含まれている建物に住んでいるだけで発症するのではないか」と不安を感じる方もいます。ただし、アスベスト被害は、その繊維を長期にわたり大量に吸い込むことで発症リスクが高まります。建材が劣化していない状態で、アスベスト繊維が大気中に大量に飛散していなければ、健康被害のリスクは低いと考えられています。ただし、建物の改修や解体時に繊維が飛散する恐れがありますので、アスベストに限らず、古い建材の取り扱いには十分な注意が必要です。
さらに、アスベストに「安全な濃度」や「安全な種類」はありません。少量の暴露でも、個人の体質や暴露の継続期間によっては健康被害につながるケースがありえるため、専門家の調査・診断が大切です。
弁護士に相談するメリット
アスベスト問題で弁護士に相談するのは、「裁判や補償を求める」という対立的な場面だけではありません。多くの方は、アスベスト被害や暴露リスクについて「具体的にどう対応すればいいかわからない」「どの手続きから始めればいいのか見当がつかない」といった不安を抱えています。ここでは、法律事務所に相談するメリットをいくつかご紹介します。
- 専門的な法的アドバイスが得られる
アスベスト規制の法制度は複雑であり、労働安全衛生法や大気汚染防止法など、複数の法律が絡み合います。また、アスベスト健康被害救済制度の対象となるかどうか、労災保険の申請要件を満たしているかなど、個別の事情に合わせた判断が必要です。弁護士に相談すれば、最新の法制度・判例に基づいて正確なアドバイスを受けられます。 - 適切な手続きサポートが受けられる
アスベスト被害に遭われた方が給付金や補償を受け取るためには、労災保険の手続き、アスベスト健康被害救済制度への申請など、書類準備から証拠収集まで多岐にわたる作業が必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、必要書類の整理や医師との連携など、手続き全般をサポートいたします。 - 交渉や訴訟での代理人として強力にサポート
被害の大きさや状況によっては、企業や行政機関への損害賠償請求や補償交渉が必要となる場合があります。その際、弁護士が代理人として交渉や訴訟手続きを行うことで、請求者ご本人の負担が軽減されるだけでなく、適正な補償や賠償を得やすくなる可能性が高まります。 - アスベスト被害に精通した弁護士を選べる
アスベスト問題は専門性が高く、過去の裁判例や立証の手段を熟知していることが、適切な補償獲得のカギとなります。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、豊富な知見を活かしたサポートが可能です。
まとめ
アスベストとは、天然に産出する繊維状の鉱物であり、かつては耐熱性や耐摩耗性などの優れた特性から多くの製品に使われてきました。しかし、その繊維を吸い込むことで深刻な肺疾患やがんを引き起こすことが明らかになり、日本をはじめ世界各国で使用禁止や規制が進められてきた経緯があります。アスベストにはクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)などいくつかの種類がありますが、どれも健康に対するリスクが高く、取り扱いには細心の注意が必要です。
現代の建物ではアスベストを用いることは原則禁止されていますが、古い建築物や解体工事現場などではアスベスト繊維が飛散し、住民や作業従事者が健康被害を受けるリスクが今でも存在します。もし、自分や家族が過去にアスベストを扱う職場で働いていた、あるいは工場や建設現場の近くに住んでいたなど、アスベスト暴露の可能性があると思われる場合には、早めに医療機関を受診し、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。
アスベスト被害や救済・補償に関する手続きは複雑ですが、弁護士に相談することでスムーズに進められるケースが多々あります。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、相談者の方の不安や疑問に丁寧にお応えいたします。ぜひお早めにご相談いただき、適切な法的サポートを受けてください。
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